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OLYMPUS
LT ZOOM 105
LTはLeather Mold Technologyの略。ボディ外装は人口皮革で覆われている。思えばカメラボディに革を張るのは戦前の蛇腹カメラの時代からの伝統であって珍しいことではない。LTはこの伝統を現代に継承したわけだ。
1990年代後半はまだフィルムカメラの覇権が継続していた。
フィルムコンパクトカメラの爛熟期であり各社ともこれ以上コンパクトカメラをどのように発展させたらよいのか模索していたように思う。
京セラのCONTAX TシリーズやNikon 28Ti/35Ti、RICOHのGRやMINOLTAのTC-1などのような高スペック高価格化路線はそれなりに成功した。ではオリンパスはどのような戦略だったのか?

オリンパス、そしてキャノンはこうした「高級コンパクト」路線は採らなかった。
何故か?

おそらく採る必要がなかったのだ。オリンパスのμシリーズ、キャノンのオートボーイシリーズは売れていた。他社の高級コンパクト路線はこの売れ筋カメラを作っている2社に対する差別化の意味があったのだろう。

1990年代後半に発売されたμシリーズやオートボーイシリーズのスペックをみてみると、価格的には2倍以上する他社の高級コンパクトカメラを凌ぐ性能が与えられているのがわかる。とりわけキャノンのオートボーイシリーズの進化はすごい。例えばAUTOBOY SUXLは最速1/1200秒のシャッター、±1.5の露出補正、サイレントモード、5ヶ国語5種類のメッセージが写し込めるという多機能ハイスペック。こういうカメラが妙に安値で売られているのをみると、引き取ってやりたくなるのだ...

オリンパスのμシリーズは、スペック上はオートボーイシリーズにやや負けているようにもみえるが、小さなボディに女性にウケるデザイン、そして生活防水機能付きで、なるほどよく売れたのも頷けるカメラに仕上がっている。
しかしオリンパスはキャノンとは違い遊び心のある会社。かつてXAシリーズでもカラーヴァージョンを用意していたし、Ecruという風変わりなカメラも発売していた。μシリーズでもLTの銘がつく独特な容姿のカメラを発売したのだった。
OLYMPUS LT ZOOM 105